笹子川支流:奥野沢川フライフィッシング釣行 20200818

やっとお盆が終わった。

道と川の混雑を敬遠し、ひたすら自宅でフライを巻いていたお盆が終わった。

エアコンの効いた部屋で想いを募らせ、何本のフライを巻いただろう。

エアコンは快適だが、汗だくで登る川に早く行きたい。

ウェーダーの中は洪水のような汗。

虫さされが嫌だから着る汗で張り付く長袖の上着。

私の目を狙うやっかいなメマトイ。

マスクを外して、虫たちが飛ぶあの風に、あの山の香りを感じたい。

あぁ、早く川に行きたい。

狙いを定めていた、あの川へ。

笹子川支流:奥野沢川

以前から気になっていた川。

笹子川支流:奥野沢川。

ポイントを隠したがる方もいらっしゃいますが、IT社会のこのご時世、ジェントルマンなフライフィッシャーの方々の小さなお役に立てればと、私はあえて紹介させていただきます。

ルールとマナーを守った共有、お互い楽しみましょう!

中央高速を大月で降りて、20号線を勝沼方面に向かう。

笹子川沿いに走る。

川沿いに続く、この道が好きだ。

水量、雰囲気、良いじゃないか。

ご存知のとおり、途中には名だたる何本かの支流エントリーポイントがある。

笹子トンネルの手前。

一度寄ってみたいと思っている古いドライブイン的な食堂”しらかば”の先。

左に入る。

山に登る道。

エアコンを切り、窓を全開にする。

徐々に緑の匂いが強くなってくる。

良いね。

これだわ。

やがて目的地のポイントに到着した。

↓地図ご参照。(Google mapではい!到着!)

https://goo.gl/maps/4yTPdWcGpGNy3A5b7
この橋が入渓ポイント
橋の下からナイスな雰囲気

午前8時、水温16度。

虫はまだ飛んでいないし、蝉も鳴いていない。

そして誰も居ない。

美しく流れる清らかな水。

朝日に輝く水面。

もしかしたら、上に誰かが入っているかもしれない。

でもいいじゃないか、しばらくの間は”俺の川”だ。

これ以上の幸せはない。

入渓ポイントから、素晴らしい渓相が続く。

そして何と言ってもフライフィッシャーにとってありがたいのが、”振れる”こと。

小さな川だが、枝木はかぶっていなく、二段上のポイントまでキャスティングがしやすい。

生存確認

入渓ポイントから続く好ポイント。

#14のブラックパラシュートにパイロットフライを任命して釣り上るが、反応がない。

あれ?居ないのかな?

何せ初めてのポイントなので、やや焦り始める。

9:30、蝉が鳴き始める。

まだ虫は飛んでいない。

#14のブラックパラシュートを#14のフローティングニンフに変更。

良さげな流れに優しく落とすと、ぱくんと一発!

美しく可愛いイワナ。

居るじゃん。

ほっと一息。

良かったよ、元気に居てくれて。

魚を釣るというより、彼らが居るってことを確認できたことが嬉しい変態体質。

ありがとう。

元気でね!

フローティングニンフに出てくれたイワナ

堰堤を超えて

素晴らしき渓相の中をゆっくり登る。

すぐ脇を道が通っているので、時折車の音も聞こえる。

安心できる川、渓相は良いが、ここにハードボイルドな危険性は感じない。

森の熊さんには会いたくない。(某所で熊さんに会ってビビってる!)

歩きやすく、安全。

これ大事。

入渓ポイントから200mほどに小ぶりな堰堤がある。

何のためにこんな物作ったのか。

魚は絶対登れない。

魚道もない。

折角続いた渓相の中にハッとさせられる人工物。

人間として複雑だ。

気を取り直して、堰堤を超えてみた。

堰堤上の世界

堰堤を超えると、何事もなかったかのように、また素晴らしいポイントが続く。

堰堤下より、やや大きな岩が目立つようになる。

透き通った水、魚たちが身を隠すに絶好の大きな岩の影。

何か雰囲気の違いを感じ、フライを#12のブラックパラシュートに結び直す。

美人が居るかも。

ステージの違いを感じる。

銀座八丁目か。

緩やかなカーブを描く大きな岩の脇の流れ。

岩の手前1mにそっとフライを落とす。

フライは綺麗に流れに乗って、どうぞ私を食べてと言っている。

次の瞬間、エグれた岩の影から黒い塊が走った。

ヤマメ。

ぷっくりと太った美しい魚体。

綺麗なドレスにバランスの取れたアイシャドウ、やっぱりヤマメの目は優しくて可愛い。

堰堤の上にヤマメが居るんだね。

笹子トンネルを超えた勝沼あたり、例えば日川なんてはアマゴなのに。

ヤマメ。

命を繋いでる。

美しきパーマーク。

神様は何故こんなにも美しい魚をお造りになったのか。

何故こんなに美しい模様をしてるの?

何か意味があるんでしょう?

パリコレのどんなトップモデルより俺は君の方が美しいと思うよ。

今度聞かせてね。

ありがとう。

元気でね!

ネットの中で少し恥ずかしそうなヤマメ
アントにも見える#12ブラックパラシュート
エアロドライの端っこは切れとサンスイのS氏に教わる
彼女は恥ずかしそうに帰っていった

今日はこれでいいやと思わせる美人

大きな岩が目立ってきた堰堤上をさらに登る。

ウェーダーの中は汗でびっしょりだ。

気持ち悪いが気持ち良い。

やがて、ここぞというポイントに出くわす。

そういうポイントには何かオーラがある。

フライはそのまま、#12のブラックパラシュート。

昔、何かの小説で読んだが、一度釣れた毛針には魚の匂いが付いているから魚が安心するらしい。

それを信じよう。

カーブフックのお尻にダークグリーンのダビングをちょっぴり太めに、ソラックスはピーコーックにグリズリーを少し巻く。

ケツのダビングがだんだん水吸ってケツが下がり、浮くか浮かないかギリギリで流れるセッティング。

大きな岩の手前にそっと落とす。

リーダー7x9ft、ティペット8x2ft。

ドラッグ何とかかからず、狙った岩の横を流れる。

虫だ!虫が流れているにしか見えない!(自画自賛)

流れるフライ、狙った岩の前まで、1m、50cm、20cm、さぁ、ここだ!

日差しが届かぬ暗い岩の底の底から。

黒から焦げ茶色に変化しながら水面に、大きな塊が素早く飛び出した。

ヤマメ。

音も立てずしなやかにフライを咥えると、ビュン!とまた元の岩陰に戻ろうとした。

瞬間、そのお上品な、例えば鳥に狙われないよう、生きる術を学んだであろうその食事の仕方に見惚れるも、私はロッドを煽った。

フッキング。

しなるロッド。

バーブレスフック。(勝手に考えてる魚との50 50のやりとり)

カムパネラのアンサンド7'0#3、ナイスなアクション。(ORVISの7'3より使用頻度多し)

東北の国産ブランド、日本の渓流を知り尽くした感を感じる。(ORVISかぶれを一新させられた)

ORVISの7'3をもうちょっと日本の渓流、特に私のように小さな支流好き用にアレンジした感じ。(そして何より軽い!これ感謝)

ラインをたぐる。

ゆっくり、じっくり。

背中に手をまわす。

あれ?あら?背中に回した手は空振り、ネットがない!

落とした?

どこで?

ロッドはしなり、魚は引く。

下流へ、上流へ走る。

めちゃくちゃ走る。

岩の底に入ろうとする。

どうするよ?

ネットは?

いいよもう別に。

とにかく焦るな。

その姿が見たい。

どうしても見たいんだよ。

ネットなんてどうだっていいんだよ!
(人間怖いね、吹っ切れちゃう瞬間)

慎重に。

焦るな!

ほら、また走る!

ほんの数秒だけど、例えようのない時間が過ぎた。

やがて、岩の中へ隠れそうなところを何とか引き上げられた。

シャキッとした顔立ちにグラマラスな身体。

セクシーな美しき魚体。

全てが曲線。

こんな子が居るのね。

凄いわ。

ネットがないから、砂の上でホントごめん、少しだけ人間のエゴ、撮影に付き合ってね。

イヤイヤもあまりせず、おとなしく言うことを聞いてくれた子。

さすが、育ちも良いね!

そっとリリースすると、尾びれをセクシーに振りながらゆっくりと岩の底に戻っていった子。

あぁ、素晴らしいわ。

もう、いいわ、今日。

本当にありがとう。

もういいと思わせる、不思議な力を持った魚。

俺のテンションを沸騰点まで連れて行ってくれたヤマメ。

感謝なのか何なのか。

罪悪感と満足感の綱渡り。

何のためにフライフィッシングをしてるのか。

良く分からないが、涙が出そうと言ったら嘘ではない。

ロマンティックな世界がここにはある。

ありがとう。

お元気で。

この先も可愛い子供達をたくさん産んで、この素晴らしき川で生きておくれ。

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もういいやと思わせたグラマーなヤマメ ネット落としてしまい、早くリリースしてあげたくて動画なし

安全安心な川

笹子川支流:奥野沢川。

安全安心な川。

素晴らしき川。

アクセス良く、圏央道八王子ジャンクションから40分。

今回の釣行時間は約3.5時間。

無理なく、エンジョイできます。

50歳を過ぎたジェントルなフライフィッシャーにオススメです。

ゆるい流れのプールも多々ありますので、渾身のフライをいろいろ試すことも楽しいと思います。

お帰りの際は、笹子駅前の”笹子餅”をお忘れなく!(やわらかくて、上品な甘さ。お茶にもコーヒーにも良く合いますよ!)

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