山梨県:日川フライフィッシング釣行 20200831(シブかった...)

残暑厳しい、8月の最終日。

あの山はもうきっと涼しいだろう。。

ジメジメとした暑い日々が続き新たな川を探求する気力も薄れている。

巻いたフライの数もいつになく少ない。

何かを求める本能。

魂の赴くままにいつもの日川に向かった。

リセット

いつもの圏央道と中央道をのんびりとドライブ。

仕事のこと、家族のこと、友人のこと、様々なことを思い出し、考えながらハンドルを握る。

やがて中央道の談合坂あたりが近づくと、さっきまで頭の中にあった”考えごと”が、山や川、魚のことに置き換わっていき、心の奥底に沈む重く鈍い岩が溶けて身体も軽くなる。

大月インターチェンジから国道20号に右折すると、エアコンを止め、窓を全開にした。

午前7時、外気温23度。

あぁ、この風、この香り。

風は俺の頬を通り過ぎ、車の中を一周して、助手席側の窓から抜けていく。

道の下を流れる笹子川はいつも通りに綺麗な水だ。

川底の石が見て取れる。

水量もちょうど良い感じ。

笹子餅屋さんはもうやってるよ。

鼻歌も出はじめ、笹子トンネルを抜けたら右折。

さぁ、来たよ。

ここから標高1200mまで登る。

お邪魔します。

今日のポイントは、ペンションすずらんの少し下。

午前7:30到着。

外気温21度。

車を降りると、涼しくて優しい風のシャワーが俺の身体に纏わり付いた汚れたものを吹き流してくれる。

リセット。

他に車はいない。

一番乗りだ。

途中のローソンで買った最後の二口分残るコーヒーはまだ人肌に暖かい。

ゆっくりとウェーダー、ブーツ、ベスト、ロッドにリールをセットして、川のせせらぎに誘われるまま林に入って行った。

いつもの素晴らしい日川の渓相

はじめてのシブい日川

水量問題なし。

いつもの美しい日川。

特にこの時期はグリーンが濃く、素晴らしい。

こういう風景を見ると心が落ち着く。

神様はそんなふうに人間をお造りになったのか。

まだ早い時間だからか、虫は飛んでいない。

こんな時は経験値から、#14のフローティングニンフにパイロットフライを任命する。

しかしながら、ナイスなポイントの数々に丁寧にフライを流すも、反応がまったくない。

あれ?

咥えないにしても、キスバイト程度は必ずあるはずなのに。

行けども行けども、こんな感じが続く。

あら?

何かおかしいね。

いつもの雰囲気じゃないよ。

足元は足跡だらけ。

鹿の足跡より人間の足跡のほうが多い。

昨日(日曜日)、一昨日(土曜日)でだいぶ叩かれてるね。

だけど、ここの魚はそういうのあんまり気にならないはずなんだけど。(だから日川好きなんだし)

んー。

困ったね。

作戦変更して、人が狙いそうもない小さな小さなポイントにフライを落とす。

すると、ガバっとでました!

なんだぁ、隠れてたのね!

あぁ、安心した。

ところが、ネットイン寸前でバラし。

アマゴ。

あぁー、残念。

そして小さなポイントをまた狙うと、すぐにガバっと!

イワナ。

これまた何と、ネットイン寸前でバラし。

嫌な予感。。

それからはぱったりとまた反応なし。

おかしい。

絶対おかしい。

こんなシブい日川ははじめてだよ。

一体どうしたの?

元気出して〜とでも言ってくれたようなカエル

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魚はハックルの色を見てると確信した

その後、5時間ほど釣り上るも、全く、反応なしが続く。

ややノイローゼ気味になってきた。

あーでもない、こーでもない、と変えに変えてきたフライを#14の半沈み系パラシュートに変更する。

集中力低下、リーダーとティペットが上手く結べない、フックにティペットが通らない、足元ふらつき、枝に、岩に、流木にひっかけ続け、フライボックスはほぼ空だ。

だけど、フライボックスが空になってくると、寂しいんだけど、また巻かなきゃ!って何か嬉しい変態気質。

シブさのヘビロテは変わらないが、やがて少しづつ反応がでてきた。

やがて今日の答え合わせがはじまる。

ピーコックボディは同じだが、ハックルが黒くないと反応しない。

なんと、不思議。

ちゃんと見てんのか?

面白いねー。

ブルーダン、グリズリー、茶系、全くダメ。

黒にしか反応しない。

別の意味でノイローゼがはじまり、すでにランニングハイ状態でヘラヘラ笑ってる自分。

なんだかなー?

なんでかなー?

もっと巻いてくれば良かったなー。

だからフライはやめられない。

そしてようやく、川の宝石に出逢えた。

美しき日川のイワナ。Nervous But Glamorous

最後の黒ハックルの#14パラシュート。

もうこの1本しか残ってない。

頼むぜと、フライに話しかけてしまう俺。

深呼吸。

あそこだ。

一投目。

やはり皆が見逃しそうな小さなポイントからまるでナイフとフォークを使ってフレンチでも食べるかの様に静かにで出てくれたイワナ。

キラッと、銀色に輝いたかと思うと、黄色、オレンジ色のアクセントを見せつけながら、上へ、下へとその美しいボディをくねらせながら彼女はダンスする。

ロッドから伝わる、生命の強さと美しさ。

その数秒の間、ロッドを握った俺の右手の先から暖かく優しい、説明不能な小さな柔らかいものが俺の身体にスーッと入り込む。

指先から腕の付け根を通り、足の先までそれは入り込む。

ネットインして魚を見つめる時、魚にその小さな柔らかいものは俺の身体から魚にゆっくり戻っていく。

いつも感じる不思議な感覚。

あぁ、逢えたよ。

良かった、いてくれて。

何色とも例えようもない美しきドレスをまとった、美人さん。

グラマーでスタイル抜群だ。

ミス日川。

ありがとう。

折れかかっていた心を支えてくれた女神。

元気でね。

グラマーなお尻を振って、落ち込まないでねとでも言わんばかりに彼女は微笑みながら川の中に戻って行った。

彼女が帰った水面を見つめ、しばし”無”になる時。

この瞬間のためにフライフィッシングをしていると言っても過言ではない。

 

午後2時、予報通りに空は暗くなり、雨が落ちてきて、雷様のお出まし。

一瞬、高木ブーが俺の脳みそを笑顔で走り去る。

さてさて、退散しましょう。

シブかった辛い日川だったけど、美人に逢えて機嫌は治ったよ。

車で帰り支度をしていると、フライフィッシャーに遭遇。

しばし話をすると、やっぱり彼もこんなシブい日川は初体験とのこと。

俺だけじゃなかったんだ。。

と、心の中で勝手に自分を納得させる。

よくここに通う人らしい。

ナイスなジェントルマン。

また逢ったらよろしく!

携帯やライン交換なんてヤボなことはしないけど、気付けば、フライのこと、熊のこと、いろいろな立ち話が1時間以上。笑

いい歳した大人二人がなかなかの強い雨の中びしょ濡れで笑顔で話してる。

やがて雨もあがり、晴れ間も見え、虫が飛び始めた。

今からじゃないですか?

ですよね、でも今日はもう十分ですと笑顔で彼。

同感だ。

辛い思いを共に味わった戦友か。

今日はシブい内容だったけど、最後に綺麗な美人イワナにも逢えたし、ナイスな人にも逢えたし、終わりよければ何とかです。

日川の風景、空気、川の匂いで俺の身体はまた満タンになった。

だからまた俺は人生という名の川を泳ぎ続けられる。

今日も素晴らしい一日に感謝。

心折れはじめ、休憩の図
最後に出逢えた美人さん

↓短いですが、この日の動画はこちら。

https://junmerrykent.com/youtuber/

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