箱根八里のチビ山女魚 フライフィッシング釣行2020年9月下旬

9月も下旬にさしかかり、今日から世の中は4連休のはじまりだ。

長い間カレンダーとは無縁の生活を送ってきた私は、基本的に休日や祝日などに動くことを控えている。

例えばある目的地に行く場合、通常であれば1時間で到着するところ、休日や祝日だと倍近くもの時間がかかってしまうケースが多く、生理的にどうしても納得ができない体質だからである。

しかしながら、川には禁漁期間というものが迫っていて、今シーズンはあと何回川に立てるだろう?との思いから、その体質を無理にでも改善させた。

案の定、Google Mapは圏央道の渋滞を赤く示している。

こりゃ、ダメだ。

目星を付けていたあそこのあっち方面を含め、リリーフ準備のあそこにも、つまり奥多摩、山梨、長野方面には行けない。

川に着く前に、渋滞ドライブで心身ともにヤラれてしまう。

さて、どうしよう。

試合放棄するわけにはいかない。

そうだ!故郷、箱根。

40分で着く。

決まり。

海沿いの134号線から、西湘バイパス、そのまま箱根新道で、はい、到着だ。

少々、後ろ髪を引かれる思いはあったが、高速道路の上より川の中に長く居たいでしょ?

気持ちを切り替え、海と山とのトランジションを楽しみながら、故郷の地、箱根、須雲川へ向かった。

箱根 須雲川

須雲川は、早川とともに箱根に流れる二つの川の一つだ。

箱根山の南側を流れるのがこの須雲川。

北側を流れる早川に比べ、その昔から観光地開発がほとんど行われていないため自然色豊かな山々に包まれていて、水質もピカイチだ。

何しろ、早川に比べ、川沿いにゴルフ場がないことが大きな違いだ。(早川の上流、仙石原はゴルフ場だらけだ)

分かる方にはお分かりだと思うが、ゴルフ場が川沿いにあると、ほぼ、その川は死んでいる。

話はそれてしまったが、今回は、シーズン中にあえて、数回しか訪れることのない、唯一まだ、箱根らしさが残る、私が大切にしている須雲川の上流部に入った。

できるだけそっとしておいてあげたい、だけどたまに様子を確認したい川。

そんな川をお持ちのフライフィッシャーの方々もいらっしゃるだろう。

アクセスが困難なことからも、この付近は釣り場としてはほぼノーマークな地点であり、当然、放流などされておらず、昭和前期に築かれた数々の砂防堰堤に遮断されてしまった小さな、小さな世界で、健気に命を繋いできた山女魚たちが暮らす川である。

とある先輩フライフィッシャーから聞いた話であるが、昔、この川になんと、ブラウントラウトを放した輩がいたそうだ。

いつの時代にも不逞な裴は居るものである。

私は未だここでブラウントラウトには出逢ったこがない。

己の欲のために、自然の生態系を崩す人間の悪行は悲しい。

放たれたブラウントラウトたちには何の罪もない。

しかし、厳しい自然環境や、やはり人間によって強いられた環境変化に耐えながら本来この川で長きに渡り子孫を残し続けてきた山女魚たちが悠々と泳げる川であってほしい。

この川には天然記念物である、ハコネオオサンショウウオも居るのである。

川の中にまで困難が存在するだなんて、考えただけでも辛い。

因みに、須雲川沿いにある畑宿という集落には今も釣り堀があり、ここから下流では落ちてきたニジマスに出逢うことがある。

繁殖力の高い彼らの子孫は、既にこの川でネイティブ化しており、ヒレピンの素晴らしい姿をしていて時に尺オーバーの美女に面会することもある。

やはり、ニジマスたちには何の罪もないのだが。。

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ドラマはこうして始まった

秋といえども、山や草木は未だ緑濃く生き生きとした表情だ。

いつものエントリーポイントから、少々急な崖を獣が踏み作った道に沿って川に降りる。

動物たち元気そうだ。(狸、狐、鹿、猪、そして最近では熊!どうも丹沢あたりから出張しているらしい。。要注意!)

どこの川に行っても感じるのだが、この道しるべに逆らわず進むと、確かに楽に安全に川に降りることができる。(帰りは登れる)

やがてあのセクシャルな、生命力に溢れた、川のせせらぎが下から聞こえてくる。

空気が少しづつ冷んやりしてくる。

儀式。

冷んやりとしたエアーシャワーで、この前行った川から日に日に知らず知らずこびりついてしまった人間社会の垢を落とされる。

深呼吸。

お邪魔します、と心の中でこの川、山、全ての自然に敬意を払い、川に降り立つ。

木々の枝に遮られた優しい日差しが丁度良く届いた水面は、美しい記憶のまま今日も私を迎えてくれていた。

あぁ、久しぶりに来た。

何も変わっていない。

まるでタイムマシンに乗って、幼少時代によく遊んだあの場所に来た感じ。

風、匂い、全てが優しくて懐かしい。

さて、今日はどんなドラマが待っているのか。

ロッドをつなぎ、リーダーにティペットをセットした。

今日のパイロットフライは何にしよう?

昨日頑張ってたくさん巻いたからね、色んなのがあるんだよー。

さてと、

ん?

んン?

えぇー!?

フライボックスを入れたはずのベストの左ポケットが空っぽ!

えぇー!?

やば!

右ポケット確認!あるわけない!

裏側のポケット、背中のポケット、もっとあるわけない!

やっちゃったよ。

確かに家を出る前、フライボックスをベストのポケットに入れたはずなのに!

なんでー?!

(帰宅後確認)原因は、いつも使うベストと最近使わないベストを同じ椅子の背に重ねてかけてあって、家を出るとき、使わないベストのポケットにフライボックスを入れていたのでした。
ご丁寧に、チャックまでちゃんと閉めてあったよ。。涙

どうしよう。

あ、ミッジ用の小さいボックスがポケットに入れっぱなしだったよ。

あー、救われた。

昨日頑張って巻いたフライたちをデビューさせたかったけど、仕方がない。

これがあっただけでも何とかやれる。

というわけで、早々にドラマは始まったのでした。

降り立った瞬間から素晴らしい世界が広がる

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#18、#20のミッジで四苦八苦

あぁ、#12、#14で昨日一生懸命に巻いた、テレストリアルを飛ばしたい。。

折れかかった心を何とかつなぎ止め、#18と#20しかないフライを選ぶ。

春先に老眼鏡の助けを借りて、あーでもない、こーでもないと、いろいろ試し作りをしておいて、私の行くポイントではこの時期全く出番がなく、フライボックスの中で静かに眠っていたフライたち。

少しでも大きく見えるヤツを選びたい。

ふざけて大きめのハックルを巻いた#18パラシュートにパイロットフライを任命した。

降り立ったポイントの目の前に広がるプール。

水の透明度はやっぱりこの川はすごい。

流れ良し、水量良し。

キャスト前、水面を見つめているとライズあり!

居ますね!元気で良かった。

ライズの手前にフワッとフライを落とす。

流れに乗った瞬間、ピシャっと水面が割れた。

きた!

うぅー、でも咥えきっていない!

今度は#20の自分でも何だかよく分からないフライにチェンジ。(カディス風)

今度は違う流れを狙う。

ほい、きた!

はぁー?

また咥えてない。

でも活性良くて、何しろ元気な姿を確認できて良かった。

一つのポイントをあまりやり過ぎず、ゆっくりと川を登りはじめた。

優しくて柔らかい渓相に酔いながら。

箱根八里のチビ山女魚

苔の張り付くここ特有の石にスリップしながら釣り上がる。

何度かアタックはあったものの、やはり咥えきっていないパターンが多く、やっとフッキングした子もバラしてしまった。(この子結構良いサイズでした)

冷んやりした風が更にそうなり、空の雲行きも怪しくなってきたのでそろそろ退渓しようと最後のポイントを決めた。

さて、どうかな?

フライは#18CDCダン。

フロータントをちょっぴり塗って、そっと落とす。

この川は底が黒っぽいから、ナチュラルカラーのCDCが良く見える。

きた!

でもまた、あーぁー!咥えてない!

なんでー?

もう一回。

ほらきた!

今度はかかった!

ピチピチと空中遊泳する小さな可愛いチビッコ。

うー、逢えたよ。

綺麗だなー。

いわゆる、謎とされている、この地域特有の朱点と、オレンジ色のヒレ。

なんでこんなに綺麗なの?

去年生まれた子かなー?

たくさん虫食べて、大きくなってね!

ありがとう、またね。

この小さな世界で、命を繋いでる。

来年も、再来年も、ずっと。

大昔、砂防堰堤なんてなかった時代は、ここから海に降り、またここまで戻ってきた君たちの先祖がいたんだね。

同じ故郷の者として、この川のこの山女魚たちには感慨深いものがある。

故郷の川。

故郷の山女魚。

一生懸命に生きている。

鼻の奥がツンとする、ちょっぴりロマンティックなひと時。

今日も素晴らしい一日に感謝。

動画はこちら(YouTube)

オススメの小説:天方釣り 小田淳

ここで、一冊の小説を紹介させていただきたい。

江戸時代の箱根を舞台に、この須雲川での山女魚釣りを中心とした時代小説、”天方釣り”。

フライフィッシャーは歴史好き!ロマン好き!と勝手に思う。笑

一度でも須雲川をはじめ、小田原、箱根を訪れたことがある方であれば、物語に出てくる光景がリアルに目に浮かび、読み進めるほどにワクワクしてくるだろう。

機会があれば是非読んでみていただきたい。

時代小説、”天方釣り”(Amazon)

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