5月25日に神奈川県では緊急事態宣言が解除されたことにより、それまで営業を停止していた箱根各所にあるホテル、美術館、お土産屋、温泉施設などはそのほとんどが6月より営業を再開しました。
しかし、箱根を訪れる観光客の数は中々元には戻らず、今も観光業を営む方々にとっては厳しい状況が続いています。
流行病が及ぼす影響の第2波、第3波の心配も現実的に身近な恐怖として感じる今日この頃、今の箱根における観光業の実態を調査してみました。
ヒアリング対象
5月25日に解除された神奈川県の緊急事態宣言。
私は、6月の中旬から下旬にかけて数回箱根に通い、緊急事態宣言解除後の観光業の実態を知るべく、
できるだけ生の声を拾いたい
と思い、以下の箇所でヒアリングを実施してみました。
ヒアリング対象の各所は、箱根にて物産品その他の卸業を行う私が仕事上お付き合いのある箇所となります。
施設名やご担当者様の具体的な名称の記載は差し控えさせていただきますのでご了承ください。
(ご協力いただきました各所の方々には感謝いたします)
因みに、緊急事態宣言が発令され、4月、5月は箱根全山ほどんどの施設や店舗は休業しておりました。
- 美術館(3箇所)
- お土産屋(2箇所)
- ホテル(2箇所)
- 会員制ホテル(4箇所)
- 旅館(2箇所)
- ゴルフ場(2箇所)
- コンビニ(2箇所)
- 乗り物:ロープウェイ、観光船(1箇所)
- 温泉施設:日帰り温泉など(2箇所)
- 物産問屋(2箇所)
- 飲食業(2箇所)
緊急事態宣言の解除に伴う神奈川県知事メッセージ
ヒアリングの結果
各所でヒアリングした結果を伺ったニュアンスをもとに、生の声として以下に記載いたします。
美術館

6月の中旬までは緊急事態宣言中とほとんど変わらず、お客様の数は少なかったが、6月下旬になって少しだけ客足は増え始めたが、平常時の比率では到底ない状況だ。
お土産屋

全くダメだ。
6月の下旬近くになって、土日週末が平常時の平日以下の状態。
悪天候も続き、一体この先どうなるやら、不安で仕方がないよ。
現在も商品の仕入れはストップしたまま、緊急事態宣言前に仕入れたもので対応している。
ホテル

会員制ホテル

6月上旬の営業再開直後から客足は戻りつつありますね。
平常時との差はたしかに未だありますが、夏休みに向け稼働率は増加していくと見込んでいますよ。
旅館

厳しいですよ。
団体客が戻る見込みは今のところ全くないし。
団体さんが来てくれないことにはどうにもならない。
温泉にかかる費用や人件費、光熱費に悩んでますよ。
夏休みに向けて、何とか回復してほしいけど、第2波、第3波の心配もあるしねー、見通しがつかない状況です。
ゴルフ場

平常時に比べると少ないことは確かだが、驚くほどではないかな。
ゴルフは外で行うスポーツのため、3蜜というイメージがあまりないのではないかな。
常連さんはいつも通り来てくれているよ。
夏に向けて、客足は恐らくこのまま増加すると思っている。
コンビニ

うちは観光客の売り上げがメインだったので、とても厳しい状況だよ。
観光客ありきではじめたフランチャイズ経営だから、成り立たないのが事実。
やってられないよ。
今は地元の方のご利用で何とか助かっている。
仕入れの調整など工夫に工夫を重ねているつもりだが、このままの状況が続くとなると。。。
乗り物:ロープウェイ、観光船

全くダメですよ。
人がいない。
悪天候が続いている状況からも、平日はほとんど客がいないし、週末も全然よくない。
乗り物を動かすための燃料費、人件費に悩んでいるところです。
自然の中を移動する乗り物とないえ、やはり蜜になってしまう空間は避けられないので、とても厳しい。
温泉施設:日帰り温泉など

6月の下旬近くから、少しづつ客足は戻ってきましたよ。
雨が続き、天候が悪い日に利用客は増えるんです。
何かイベント等を打ち出し、さらに客足を増やして行きたいけど、蜜になってしまう恐れを心配し、中々良い案が浮かばないんですよねー。
物産問屋

まんじゅうなどの食品関係、期限のある商材については委託として取引しているところからは4月に全て商品引き上げの依頼を受け、急遽ネットショップを立ち上げ、格安で叩き売りをした。
そこそこ売れたけど、捨てるよりはマシな程度でたかがしれてる。
6月になっても第2波、第3波の心配モードが強くなり、仕方のないことだが、取引先も仕入れに躊躇していて新規発注がほとんど無い状況。
本来なら、夏に向かっていく最高の時期なのにねー、残念だ。
この先の行方は全く見当もつかないよ。
飲食業

観光客さんが全く来ないので、ぱったりです。
それでも、地元の人が少なからず利用してくれるので、ありがたいですよ。
一日も早く元に戻ってほしいけど、第2波、第3波の心配もあるしねー。
このまま商売を続けていくべきかどうか迷っていますよ。。
業種により温度差がある
ヒアリングの結果をみて、全くダメだというところと、そうでもないところがあることに気がつきました。
箱根というブランド観光地の中でも、流行病の影響に多少なりとも差があるのです。
会員制ホテル、温泉施設やゴルフ場が他に比べると影響は少ない感じに思えました。
特に、温泉施設でヒアリングした、天候が悪い日に客足が伸びるという結果は予想外のものでした。
何か人間の心理的なものなどに関係することなのでしょうか?大変興味深いと感じました。
一日も早い回復を祈ります
箱根の山は 天下の険、
函谷関(かんこくかん)も 物ならず。。。
と歌われた箱根はその昔から人々にとってあこがれの地であり、雄大な山々や身体を癒す温泉は観光地としての代名詞でした。
そんな箱根をやはり古くから支えているのが地元に根付く観光業です。
箱根を訪れてくれる人々をより一層豊かなものにするために長きに渡り続くサービス業です。
現在に至る、箱根が箱根たるブランド観光地として今や世界にも誇る地位に君臨している理由の一つとして、観光業の充実化は大きな役割を果たしていると感じます。
ありきたりの表現となってしまい恐縮ですが、本当に一日も早く、この流行病の影響が終息してくれることを心から望みます。
頑張れ箱根!
今回も最後までご覧いただき、ありがとうございました。