櫓沢川ヤマメ

道志川支流・櫓沢川 フライフィッシングレポート

いつも通わせていただいている道志川で以前から気になっていた櫓沢川という名の支流にフライフィッシング釣行してみました。

事前に調べてみたところ、小渓流ながらイワナ、ヤマメの混生するポテンシャルを持ち、車でのアクセスも良く、釣り上りもそれほど困難ではないとのことから、是非一度お邪魔してみたいと感じていました。

今回は、緑深まる2020年6月上旬に訪れた、道志川支流・櫓沢川での一日をレポートさせていただきます。

道志川支流・櫓沢川の場所

道志川支流・櫓沢川は、山梨県南都留郡道志村にあり、相模川水系、道志川に流れ込む支流です。
国道413号線からもアクセスしやすく、圏央道の相模原ICから約40分程度で到着することができ、道の駅道志の少し下側に位置します。
地図で見る道志川支流・櫓沢川(Google Map)

入渓ポイント

私が今回入渓したポイントは、国道413号線から東和出村方面に向かった所になります。
櫓沢川沿いに通る舗装された道を進むと、やがて道と川との間に小さな鳥居が現れます。
ここは、村の人々によって大切に守られてきたと思われる小さな神社のような場所です。
この前に車1台分停められるスペースがありましたので、今回はお邪魔させていただきました。
目の前に一軒お家がありますので、タイミングがあれば一声かけた方がよろしいかと思います。

鳥居の先がすぐ川です

釣行レポート


10:30、早速ウェーダーに着替えて準備も整った後、鳥居の前で手を合わせ、お邪魔しますとご挨拶をしてから、川に入りました。
辺りを見回すと、事前情報通りの素晴らしい小渓流が気持ちの良いせせらぎを奏でながら流れています。
水の透明感、量もほど良く、落差のあまりない、小さな溜まりと瀬が点在し、時に深さといい、神秘的にさえ思える淵も現れる、私にとっては理想的な渓相が目の前に広がり、心が踊ります。
緑の香りと、小鳥のさえずりに包まれた一人だけの贅沢な空間をゆっくりと進みます。
淡い色をした小さなコカゲロウらしき虫たちがハッチしています。
まずは、18番のCDCダン(ライトブラウン系・フックTMC100BL)をパイロットフライに任命し、次々に現れる小さなポイントにそっとやさしく落としていきます。
各ポイントでは、小さな子たちが元気良くアタックしてくれるものの、フッキングには至らずの状態がしばらく続きましたが、魚たちの存在は確かに確認することができ、不思議と笑みがこぼれます。
やがて、ここぞというポイントに出会い、魂を入れた一投をすると、パシャン!と飛び出してきた子がいました。
しかし、フッキングしたものの、私の技量が足りず、バラしてしまいました。
多分大きさは15cmくらいで、お腹がオレンジ色をしていたのでイワナだったと思います。
残念な気持ちは勿論なのですが、やはり同じく数秒後にはからまったラインを解きながら笑っている自分がいます。

小さなポイントが続きます


素晴らしい渓相に酔いしれながら、目に映る光景をアーカイブし、途中国道413号沿いで汲んだ湧き水で水分補給と煙草を燻らしながら釣り上ります。
やがて、この小さな渓流にはおよそ似つかない大きな堰堤が出現しました。
事前情報でこの堰堤のことは分かっていましたが、なぜにこんなに大きな堰堤が必要なのかと疑問にかられました。
横には魚道があったのですが、水はほぼ枯れていて、少しだけ残った水溜りにカエルが泳いでいました。
この堰堤上もポイントが続くらしいのですが、今回は初回ということもあり、ここでフィニッシュしようと思いました。
巨大堰堤の下、有機質と無機質の境界線。
左側の堰堤下に小さな溜まりがありました。
ここで最後にしよう。
フライを18番のパラシュート(美味しそうに見える様に少し太っちょにダビング。ハックルはグリズリーのブロンズ)に結び替え、今日を終える支度が整いました。
そしてこの後、私にとっては奇跡とも言える瞬間に出会うのであります。

堰堤のすぐ左下の大きな石の影から奇跡ははじまりました
18番自画自賛パラシュート

奇跡の瞬間

ここまで、釣果はなくとも魚たちの存在を確認することができた事と、何より予想通りの素晴らしい川だった道志川支流・櫓沢川へ、このうえない時間を体験させていただいた敬意の念から、最後のこの堰堤下のポイントへフライを落とさせていただき、帰ろうと思いました。
そんな思いから、前日のタイイング中に、お!これはいいかも!と大して特徴的でもないパラシュートに自画自賛したフライに結び替えて、何故だか、こいつで終わらせたいと思ったわけです。

頭上、後方ともに障害物はなく、充分な間合いを取ったキャスティングができそうです。
左の大きな石の右にある石の上から落ちる水が、その更に右から落ちている水と合わさり、左の大きな石に向かって流れを作っています。
右の石の裏側、堰堤とのわずかな間にフライを落として、流したい。

一投目で決まる筈。
そんな予感。
ここで最後。
魚はいるのか?
ギー、とフライラインをリールから引っ張り出して、ロッドを何度か降り、距離を掴む。
キャスティング。
フライは思った所に落ちてくれた。
普段はケミカル感が嫌いであまり使わないピンクのインジケーターがこの時ばかりはありがたかった。
ややゆっくりな流れの中心を進むピンク色が左の石の手前20cmほどにさしかかったその時。
石の影から、ぬーっと、ゆっくり口を開けながら上にあがってきた塊。
まるでスローモーションのようにパクンとゆっくりじっくり自画自賛フライを吸い込んだ塊。
塊はそのまま底へ。
一瞬、何が起こったのか分からなかった僕は、完全にアワせのタイミングを外していたが、その塊がフライを吸い込んだまま潜水してくれたことでフッキングされた。
やや遅れてロッドを立てると、ズシンと重い手応え。
それは根がかりとは違い、フックからライン、ロッドを通じて紛れもなく感じる生命感の重み。
塊はむやみに暴れることなく、フッキングしていることすら忘れているかの様に、元の自分の住処であろう石の影に戻ろうとしている。
塊は、僕のロッドに引っ張られ、少し下に来たかと思うとまた上に向かい、自分の家に帰ろうとする。
2度3度、いや、4度5度、それを繰り返し、僕がちゃんとリリースしてくれて、自分の家まで返してくれる人間であるということを知っているかのように実に素直に、もうこのくらいでいい?とでも言ってそうな余裕さえ感じる態度で、僕のネットに入ってくれた。
どうせ、動画や写真を撮るんでしょ、メジャーで測ったりもするんでしょ、熱い手で触らないでよ、水にはなるべく浸からせておいてね、と、ネットに寝そべった美しい魚体の先にある愛らしい眼は僕の顔を見つめながら口をパクパクさせながらまるで喋っているかの様な不思議な感覚だった。
確かに僕に語りかけたその塊は、ヤマメであった。
体長27cm、妖艶なまでに赤みがかった体にヒレピンの見本のようなイエローオレンジミックスのひれ。
やはり口をパクパクさせ、もういいかな、そろそろ帰りたいの、と言われるまでしばししばし見とれていた僕は我に返り、清らかで冷たい川の水で冷やした手でそっと包み、やさしく、切ないお別れをした。
またね!とでも逆に言われたかの錯覚に陥りながら、ゆっくりと優雅に安心して家路に戻るその姿を見届けた。
何だったんだ、今の。
しゃがみ込み、しばし余韻に浸った。
川のせせらぎと小鳥のさえずりだけが聞こえている。
左の石の下を見るが、もうそこにあのヤマメの姿は見つけられない。
しかし今頃、石の奥深くでお化粧直しでもしているに違いない。
ありがとう。
こちらこそ、また会えたらよろしく。
その時までお互い元気に過ごそう。
また逢う日まで。

美しき櫓沢川のヤマメ
フライ商品勢ぞろいのショップ


まとめ

いかがだったでしょうか。
初めて訪れた道志川支流・櫓沢川で、最後の最後に素晴らしい瞬間に出会うことができました。
このような小さな支流で、こんなに美しく立派なヤマメが生きていたことに感動しました。
このヤマメはここで生まれ育ったのか、もしくは道志川本流から上がってきたのか。
いずれにしても、この不気味なほど大きな堰堤のところまで来たのでしょう。
本当はもっと上流に行きたかったのかもしれません。
行けるところまで、来れるところまで来たのだと思います。
櫓沢川は大変に素晴らしい小渓流で、素晴らしい時間と瞬間を楽しませていただけたのですが、同時にこのヤマメに会えたことで、自然環境に対する複雑な思いも改めて感じました。
今すぐに僕にできることはないのですが、今後はこの美しき魚たちとともに生きていくために、必要なことを自分なりに模索してみたいと思います。
今回はこの櫓沢川にお邪魔させていただき、様々なことを感じ、考えることができました。
川を去る際にはまた鳥居の前で、ありがとうございましたのご挨拶をして帰路につきました。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。

  • 今回の使用タックル
  • ロッド:ORVIS 7'11 #3
  • リール:ORVIS CFOIII
  • リーダー:TIEMCOスタンダード7X9FT
  • ティペット:VARIVASスーパーティペット8X2FT




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